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2021.03.29 インタビュー

生産者インタビュー|焼きあご製造者 畑下さん-新上五島町

五島のあご出汁を全国へ

上五島で獲れたトビウオを使った焼きあごを製造している有限会社はたしたの畑下直(はたしたすなお)さんにお話しを伺いました。
上五島で焼きあごを製造している畑下さん

―産地の特徴・他の産地との違い―

新上五島に有川湾という入り組んだ湾があります。トビウオが9月になると北風に乗って南下して、有川湾に入るので、そこを狙ってトビウオ漁を行います。
全国でトビウオは、北は佐渡から南は隠岐の島、八丈島で獲れますが、あご出汁に使うのに一番向いている小さいトビウオ(幼魚)が獲れるのは長崎県内だけです。県内でも獲れるのは上五島地区と平戸地区の2つの地区になります。
他の地域は大きいトビウオで、油が多く、刺身向きですが、ここで獲れるトビウオを出汁に向いているのが大きな特徴です。

―焼きあごを始めたきっかけ―

私の家はもともと、あご網の網元で、トビウオ漁や炭火焼き、焼きあご出汁作りをしており、小さい頃から環境に親しんでいました。会社の設立は平成16年で、炭火焼きをこれからも残していきたいと思い、会社を立ち上げました。

焼きあご製造の様子

―やりがい・大変なこと―

原料が海のものなので、天候などにとても影響を受けるためその確保が一番大変です。また、我が社の場合、炭火を使いますので、暑い時でも焼く必要があるということが大変です。
やりがいは、地元でとれた魚を地元で加工して、全国に配送できる楽しさ、これはとても面白く、私のやりがいです。「美味しい!」、「他所のとは違うね!」 と言われると、とても嬉しいです。

炭火で焼きあごを製造する様子

―一日の仕事の流れ―

9月から10月の漁期は、通常ずっと船に乗っています。そして従業員に朝から焼いてもらっています。午後は、焼いたものの袋詰めや選別などの作業があります。焼きあご作りは、乾燥に5日ぐらいかかります。あご漁を終えると、週に3〜4日焼きあご作りをやっています。

焼きあご作りの作業風景

―商品の特徴―

あご出汁については、他の種類の出汁を混ぜた商品が結構出回っていますが、我が社は100%のあご出汁を作っております。この100%の良さを広めていきたいです。また我が社は、他社とは違い炭火で焼いているので、炭火の遠赤の効果が魚に出ます。炭の香り、魚臭さがない出汁にするには、炭火が向いていると思っています。

炭火で焼かれるトビウオ

―オススメの食べ方―

焼きあご出汁は魚臭さがなくて、どんな料理にも合います。五島地域では“五島うどん”という特産品の出汁として昔から使われており、その食べ方があご出汁を一番美味しく感じることができると思っております。

上五島の焼きあご

―夢・目標―

日本全国の出汁というと、鰹節の出汁、いりこ出汁、昆布出汁が三大出汁ですが、できればそこにあご出汁もちょっとでも近づけるように広げていきたいです。これが最大の目標です。
商談などに行って、あご出汁の使い方について、粉末だしや姿出汁という方法だけでなく、他にもさまざまな方法を勉強しているので、今後、あご出汁の新しい使い方を広めていこうと思っております。

上五島で焼きあごを製造している畑下さん

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